東アジアの通貨危機 5
こうした意味で、貸し手も借り手も民間が主役であるという点が、今回の危機がこれまでの中南米債務問題、メキシコ通貨危機と違い「21世紀型の危機」と呼ばれる由縁であると思われます。
しかしながら、上記の理由だけでは、その後の急速な周辺諸国への危機の伝播は説明できません。
これだけの通貨下落がまたたく間に伝播した背景には、市場の信認が一国の経済運営においても必要であり、資本の流動にとり大きなファクターとして働くことを示しています。
為替レートは、実需の売買が市場を形成するという理論、すなわち購買力平価や貿易財の需給バランスによって決定される、という考え方だけでは説明がつかなくなってきています。
金利差やインフレ率といったファクターと同時に、市場がその国の先行きを信認しているかどうかという「期待」のファクターも併せて重要になってきているのです。
従って、信認が一度喪失されると、同じような経済構造や問題を持つ国への信認も崩れ、パニックが連鎖的に起きるという可能性が出てくるのです。