首都圏の植生図から何がわかるか
一つの例として、例えば私たちが30数年間、現地調査して行なった小縮尺の各植生図や植生調査結果を総合して作成された首都圏あるいは近畿圏・四国・九州その他の潜在自然植生図と現存植生図を比較してみましょう。
その土地本来の自然植生は、地形や海からの距離あるいは北から南へと、大きくは気候的な要因によってみごとに秩序正しく配分していることがわかります。
過去から現在までのさまざまな人間の影響によって変えられている緑の現状診断図・現存植生図は、自然環境の総和として成立した自然植生とは全くといってよい程かけはなれています。
首都圏の現存植生図と潜在自然植生図を比較してみてもあきらかによみとれるように・・・
今や1都6県をまとめた関東地方で、人口3600万人の大部分が集中して生活をしている、あるいは働いている東京湾ぞいでは、まさに植物砂漠といってもよいほど、その土地本来の自然植生は見られません。
50万分の1の植生図では、せいぜい針の先の点でしか描けない程度に、芝離宮・宮城・浜離宮・自然教育園、あるいは復元された樹林であるが明治神宮の神宮林などが見られるにすぎません。
私たちが限られた空間で生物集団の一員としてまちがいなく生きのびてゆくためには、このような緑の現状を正しく冷静に見つめることが必要になっています。