東アジアの通貨危機 6
情報開示が進んだ完全な市場では、各々の情報は合理的なメッセージとなり、市場の信認が成立しうるので、過剰なパニックが生じる可能性は小さいでしょう。
しかし、世界銀行が指摘するように、企業経営の透明性の欠如や政策運営の情報公開が十分進んでいない東南アジアにおいては、事態を無用に悪化させる要因ともなり得ることを今回の事態は示しています。
例えば、1998年1月にインドネシア国内の政治要因でルピアが大幅に下落した際に、下落要因とは直接関係のない周辺諸国の為替も下落したことが1つの例でしょう。
大量の資金が国境を超えて瞬時のうちに動き、またそうした資金流出が伝播する現象も「21世紀型の
危機」の特徴と言われています。
今後はそうした現象への対策も十分検討されるべきでしょう。
今回の通貨危機は、為替政策や金融政策が適切とは言えなかったことと、金融セクターに脆弱性があったことが原因であることは、多くのレポートが指摘しています。
従って、経済の実態を見据えた為替・金融政策や金融セクターの健全性や効率性の向上は、経済回復への重要な課題です。